ご両親の衰えを感じたら・・・

ご両親の衰えを感じたら・・・

ご両親の衰えを感じたら・・・(Ilona IlyésによるPixabayからの画像 )

大阪城の天守閣が再開されたそうです。やっと外出自粛が緩和され、すこしずつ自由に外出できる地域が広がっています。あなたの体調はいかがですか?そして、ご両親の体調はいかがでしょうか?

今回は、ご両親の衰えを感じた時の対策をご紹介します。「健康長寿ネット」や「eーヘルスネット」の記事を参考に分かりやすく、要点を整理して、説明しています。元の記事をご覧になりたい方は、最後にまとめて表示したアドレスでご確認ください。なお、写真は内容と関係のない子猫たちです。

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ご両親の衰えを感じたら・・・(Evan RoussosによるPixabayからの画像 )

1.フレイルとは

 「フレイル」という言葉をご存じですか? この言葉は、海外の老年医学の分野で使われている英語の「Frailty(フレイルティ)」が語源です。この「Frailty」を日本語に訳すと「虚弱」や「老衰」になりますが、医学分野の「Frailty(フレイルティ)」は、正しく治療や予防を行うと回復しますこの回復を強調するために、日本老年医学会は「フレイル」を共通の日本語訳と提唱し、現在に至っています。

では、その「フレイル」とはどのような状態でしょうか?フレイルとは健康と要介護状態の間の弱っている状態のことで、「フレイル」の基準は以下の5項目です。(⑨より)

  1. 体重減少:6か月で、2~3kg以上の体重減少
  2. 疲れやすい:(ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする
  3. 歩行速度の低下:ふつうに歩いて1秒間に1メートルを歩けない
  4. 握力の低下:男性は26kg以下、女性は18kg以下
  5. 身体活動量の低下:軽い運動・体操をしていない。また、 定期的な運動・スポーツも行っていない

上の3項目が当てはまると「フレイル」です。1~2項目が当てはまる場合には、「フレイル」の前段階である「プレフレイル」と判定されます。この「フレイル」状態になると、たとえば一般的な風邪をこじらせて肺炎を発症したり、体のダルさのために転倒して打撲や骨折をする可能性が高まります。要介護状態に進む可能性も高まります。

今は外出自粛をなさっていた全ての方々が、《身体活動量の低下》に当てはまる状況です。「フレイル」や「プレフレイル」にならないよう、ご両親の健康状態を確認なさってはいかがでしょうか?

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2.フレイルの進行を改善する方法

フレイル」には悪循環のサイクルがあります。予防や改善は、このフレイルサイクルを断ち切る方法です。では、断ち切りたいフレイルサイクルとはどのような循環でしょうか?(②・③)

(病気や加齢によるサルコペニア*)筋肉量の低下⇒⇒筋力の低下⇒⇒身体機能の低下⇒⇒活動量の低下⇒⇒エネルギー消費量の低下⇒⇒食事量の低下⇒⇒慢性的な低栄養⇒⇒筋肉量の低下⇒⇒(以下繰り返し)

(*サルコペニアは、下の「B.レジスタンス運動をしましょう」で説明)

筋肉が衰えると、立ったり・歩いたり・姿勢を維持したりといった日常動作に支障が生じます。体が動かなくなれば、食欲もなくなり、食事の量が減れば慢性的な栄養不足に陥ります。体力が落ちれば、気力も衰え、気分も沈みがちになります。

東京大学 高齢社会総合研究機構の主任研究者 飯島 勝矢教授によると、人間のフレイル(虚弱)には身体的な虚弱(フィジカル・フレイル)だけではなく、精神心理的な虚弱(メンタル・フレイル)や社会的な虚弱(ソーシャル・フレイル)が複雑に関連しているそうです。そこで、フレイルの進行を改善させる(予防する)ポイントは6つです。

  1. 持病を悪化させない
  2. インフルエンザや肺炎(感染症)に罹らないよう予防する
  3. 日頃から運動をする
  4. バランスの良い食事を摂る
  5. 口腔ケアと嚥下(飲み込む力)トレーニングをする
  6. 家族や友人との交流を維持する

フレイル判定には更に詳細な基準もありますので、どうか必要に応じて、専門医やケアマネジャーにご相談ください。(⑧)フレイルの説明は以上として、これからご家庭でできる食事と運動の具体的方法を紹介します。

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ご両親の衰えを感じたら・・・(dexmacによるPixabayからの画像 )

外出自粛で生じた「活動量の低下」から、フレイルサイクルを生まないためにご高齢の方々がご自身でできる方法です。

A.バランスの良い食事を摂りましょう

バランスの良い食事のポイントは4つ。(②・⑩)

  • 1日の適切なエネルギー量の食事を1日3回に分けて摂ること
  • 主食(ごはん・パン・麺)、主菜(肉・魚・卵・大豆製品)、副菜(野菜・キノコ・芋・海藻類)、牛乳・乳製品、果物をバランスよく摂ること
  • 筋肉の素となるタンパク質(肉・魚・卵・大豆製品)と骨を強くするカルシウム(牛乳・乳製品・小魚)を含む食品を積極的に摂ること
  • 十分な水分を摂ること

では、適切なエネルギー量とはどのくらいでしょうか?(④)

推定エネルギー必要量 (kcal/日)ー70歳以上ー
男性ー身体活動レベル   

  1. レベル1(低い):1,850   
  2. レベル2(普通):2,200   
  3. レベル3(高い):2,500

女性ー身体活動レベル

  1. レベル1(低い):1,500
  2. レベル2(普通):1,750
  3. レベル3(高い):2,000

カロリーの目安などもっと詳しく知りたい方は、農林水産省の「シニア世代の健康な生活をサポート 食事バランスガイド」(⑩)をご覧ください。記入式のワークシートも含まれていて、便利です。

また身体活動レベルは、それぞれ以下のように説明されています。(④より引用)

身体活動レベル1:低い ー 生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の場合

身体活動レベル2:普通 - 座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、あるいは通勤・買い物・家事、軽いスポーツ等のいずれかを含む場合

身体活動レベル3:高い - 移動や立位の多い仕事への従事者、あるいは、スポーツ等余暇における活発な運動習慣を持っている場合

 

ご両親の摂取エネルギー量は、適切でしょうか?特に筋肉の素となるタンパク質の1日の摂取推奨量が、男性60グラム、女性50グラムですが、毎日毎食召し上がっていらっしゃるでしょうか?(腎臓の悪い方は制限がありますので,かかりつけの医師とご相談下さい)

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ご両親の衰えを感じたら・・・(Vincent BlancによるPixabayからの画像 )

B.レジスタンス運動をしましょう

レジスタンス運動とは、スクワットや腕立て伏せ、あるいは器具を使って目標とする筋肉に抵抗(レジスタンス)をかける動作を繰り返し行う運動を言います。(⑥より引用)筋力は筋肉量におよそ比例し、例えば立ち上がる動作で重要な太ももの前にある大腿四頭筋の筋肉量の80歳代の平均値は、30歳代の平均値の半分程度であるという報告があるそうです。これでは、転びやすいのも当然です

また、筋肉は使わないと衰え、加齢・病気に伴う筋肉の委縮を廃用性筋委縮症、英語でサルコペニアといいます。このサルコペニアを防ぐ方法は3つ。

  1. ウォーキングやジョギングなどの運動
  2. 日常から活動的に生活すること
  3. 高い効果を得るためには、筋肉に負荷をかけて筋肉を直接鍛えるレジスタンス運動を行うこと

特に『レジスタンス運動によってサルコペニアによる筋肉の委縮の程度をおおむね1/3程度に抑えることができるといわれています。』

では効果が期待できるレジスタンス運動を、ご紹介します。注意していただきたい点は、筋肉には疲労の回復時間が必要ということです。レジスタンス運動は目標の筋肉に負荷を集中する運動なので、その筋肉を十分に休ませる回復期間としてトレーニング間隔をあける必要があるそうです。毎日行うのではなく、2~3日に1回程度、週に2~3回行うくらいが推奨されています。無理のない範囲で「継続的」に行うようお願いします。

★スクワット

① 立った状態で、足を肩幅くらいに広げ、椅子の背や机などにつかまって、おしりをゆっくり後ろに下ろします。
② このとき、背中が曲がったり、踵が浮いたりしないように 注意してください。
③ 太ももに力が入っていることを感じながら、ゆっくりと元に戻ります。ゆっくりと10回程度。

★上体起こし

① 仰向けの姿勢で両膝を立てます。
② おへそを覗き込むように、首をゆっくり持ち上げます。
③ おなかに力が入っていることを感じながら、ゆっくりと元に戻ります。ゆっくりと10回程度。

★ランジ

① 立った状態から、片足を前に踏み込みます。
② 前に出した足にゆっくりと体重をかけてから元に戻ります。
③ 反対の足でも、同じ動作を行います。交互に10回程度。

(図や写真をご覧になりたい場合は、②か⑦をご覧ください。)

またレジスタンス運動は、筋肉の中のタンパク合成を促すそうです。『筋肉をつくるために最も効果的なのは、レジスタンス運動の約1時間後にアミノ酸を摂取すること』と言われています。

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ご両親の衰えを感じたら・・・(Thomas WilkenによるPixabayからの画像 )

新型コロナウイルスによる外出自粛も緩和されてきましたが、まだ現在も介護の専門家にケアしていただく機会が少ないのではと懸念しています。このような時だからこそ、ご家族がご両親のフレイルに、いち早く気付き対応することができれば、フレイルの状態から健常に近い状態へ改善したり、要介護状態に至る可能性を減らせる可能性があります。

あなたがお疲れの時でも、斜め読みで分かるようにまとめました。ご参考になれば、幸いです。あなたとご家族皆様のご健康とご多幸をお祈りいたします。

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ご両親の衰えを感じたら・・・(彬彬 王によるPixabayからの画像 )

《謝辞》以下のブログや報告書を参考、あるいは引用させていただきました。深く感謝し、皆様のさらなるご活躍を祈念します。

①健康長寿ネット「フレイルとは」https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/frailty/about.html

②健康長寿ネット「フレイルの治療」https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/frailty/chiryo.html

③健康長寿ネット「フレイルの予防」https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/frailty/yobou.html

④厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」報告書 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000041824.html

⑥e-ヘルスネットー厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/ 「レジスタンス運動」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-058.html

⑦e-ヘルスネットー厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/ 「QOLの維持・向上に大切な筋肉は?」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-04-002.html

⑧東京大学 高齢社会総合研究機構 「平成27年度 老人保健健康増進事業等補助金 老人保健健康増進等事業 口腔機能・栄養・運動・社会参加を総合化した複合型健康増進プログラムを用いての新たな健康づくり市民サポーター養成研修マニュアルの考案と検証(地域サロンを活用したモデル構築)を目的とした研究事業」 http://www.iog.u-tokyo.ac.jp/wp-content/uploads/2016/04/h27_rouken_team_iijima.pdf

⑨日医かかりつけ医機能研修制度 平成30年度応用研修会 「「フレイル予防、 高齢者総合的機能評価(CGA)・老年症候群」東 京 大 学高齢社会総合研究機構 教授 飯 島 勝 矢」http://dl.med.or.jp/dl-med/jma/nichii/zaitaku/kaigo300520/300520_03.pdf

⑩農林水産省の「シニア世代の健康な生活をサポート 食事バランスガイド」https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/b_sizai/pdf/korei_all.pdf

以上

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