75歳以上なら、自治体が健診で使う「後期高齢者の質問票」への回答でフレイル状態かどうか識別が可能!

75歳以上なら、自治体の健診で使う「後期高齢者の質問票」への回答でフレイル状態かどうか識別が可能!

75歳以上なら、自治体の健診で使う「後期高齢者の質問票」への回答でフレイル状態かどうか識別が可能!(Marlene KrohnによるPixabayからの画像)

東京都健康長寿医療センター研究所の石崎達郎研究部長ら研究グループは、2020年4月から全国の自治体で順次使用されている「後期高齢者の質問票」のデータを収集し分析。その結果、質問票のなかの「フレイル関連12項目」について、健康リスクがある回答が4項目以上あるとフレイルの可能性が高いと判明!この論文を紹介します。

1.自治体で使われている「後期高齢者の質問票」

☆黄色の質問は「フレイル関連12項目」

☆回答の灰色部分は「健康リスクあり」と考えられる回答

質問文が易しいので、素人でも理解しやすいです。いくつかの項目は、質問をしなくても毎日の様子を観察していれば回答を推察できそうです。この質問票がフレイル状態を示すリトマス試験紙となります。

75歳以上なら、自治体の健診で使う「後期高齢者の質問票」への回答でフレイル状態かどうか識別が可能!

プレスリリース「自治体の健診で使われている「後期高齢者の質問票」は その12項目でフレイルの識別が可能」より引用

東京都健康長寿医療センターと 国立大学法人 大阪大学のプレスリリース「自治体の健診で使われている「後期高齢者の質問票」は その12項目でフレイルの識別が可能」より引用)

75歳以上なら、自治体の健診で使う「後期高齢者の質問票」への回答でフレイル状態かどうか識別が可能!

75歳以上なら、自治体の健診で使う「後期高齢者の質問票」への回答でフレイル状態かどうか識別が可能!(Kathryn LoydallによるPixabayからの画像)

2.収集データと検証方法

☆研究チームは、2020年に郵送調査で以下のデータを収集。

対象分析者数:1,576名

対象者の平均年齢:85.7歳

対象者中、女性の割合:52.9%

質問票の中の12項目を「フレイル関連12項目」と名付け、5領域に分類。

①運動機能(問7、8、9、13)

②栄養状態(問3、6)

③口腔機能(問4、5)

④認知機能(問10、11)

⑤社会的側面(問14、15)

☆さらに郵送調査で「後期高齢者の質問票」に回答したデータに関して質問票の黄色の「フレイル関連12項目」について、灰色の回答項目数(点数)を計算。

対象分析者数:461名

対象者の平均年齢:79.7歳

対象者中、女性の割合:49.1%

上記の方法でデータを収集し、質問票の回答とフレイルの関連を調べました。

75歳以上なら、自治体の健診で使う「後期高齢者の質問票」への回答でフレイル状態かどうか識別が可能!

75歳以上なら、自治体の健診で使う「後期高齢者の質問票」への回答でフレイル状態かどうか識別が可能!(Adelia RosalindaによるPixabayからの画像)

3.分析の結果判明した成果

☆質問票の「フレイル関連12項目」について、灰色の回答項目数を1項目1点で計算し、点数12満点中で4点以上の場合に「フレイル」であると識別できる。

☆「フレイル関連12項目」の点数を比較したところ、フレイル判定では、健常グループ(中央値1点)、プレフレイルグループ(中央値2点)、フレイルグループ(中央値4点)の3グループの間で、それぞれのグループの得点の中央値が、はっきりと異なっていた。

☆「フレイル関連12項目」の点数から判定されるフレイルの程度は、識別可能である。

75歳以上なら、自治体の健診で使う「後期高齢者の質問票」への回答でフレイル状態かどうか識別が可能!

プレスリリース「自治体の健診で使われている「後期高齢者の質問票」は その12項目でフレイルの識別が可能」より引用

☆分析対象者461人のうち「フレイル関連12項目」の点数が、4点以上の割合は19.5%だった。

75歳以上なら、自治体の健診で使う「後期高齢者の質問票」への回答でフレイル状態かどうか識別が可能!

75歳以上なら、自治体の健診で使う「後期高齢者の質問票」への回答でフレイル状態かどうか識別が可能!(Janusz WalczakによるPixabayからの画像)

4.この質問票をあなたの介護の目安になさってはいかがですか?

フレイルとは、加齢や疾患によって身体的・精神的なさまざまな機能が衰え、心身のストレスに脆弱(ぜいじゃく)になった状態です。ここから運動量の低下から筋力の低下を招いたり、食欲減退から低栄養となって筋力の低下を招き歩行や立ったり座ったりが不自由になったりして要介護状態へ陥ります。

けれど、フレイルは健康な状態と介護が必要な状態の中間点なので、健康な状態に戻ることも可能です!フレイルを見逃して、気が付いたら大腿骨骨折や肺炎、軽度認知障害に陥っていたという事態は、「介護が必要になったらどうしよう?」と心配なさっている方なら誰でも避けたい状況です。いちはやくフレイル状態に気が付いて、早めのリハビリテーションや栄養改善に取り組めば、健康状態に戻れます。

もしもこの暑さで、「フレイル関連12項目」で灰色の回答項目数が4つに達したら、ケアマネジャーさん、あるいはかかりつけ医に相談なさってはいかがでしょうか?

そして介護状態になることを心配している周囲以上に誰よりも不安を感じているのはご本人です。「介護を受けるよりは、死ぬまで自力でトイレに行きたい」と、きっと思っていらっしゃることでしょう。率直に話せば、この質問票を使ったチェックに協力してくださるのではないでしょうか。

介護の黄色信号「フレイル」を見逃さないために、この質問票の項目を1か月に1回、あるいは3ヵ月に1回、チェックなさってみてはいかがでしょうか?

75歳以上なら、自治体の健診で使う「後期高齢者の質問票」への回答でフレイル状態かどうか識別が可能!

75歳以上なら、自治体の健診で使う「後期高齢者の質問票」への回答でフレイル状態かどうか識別が可能!(Photo MixによるPixabayからの画像)

謝辞:東京都健康長寿医療センター研究所・福祉と生活ケア研究チームの石崎達郎研究部長らの研究グループと大阪大学や慶応義塾大学の共同研究に携わっている皆様、ご協力なさったボランティア等全ての皆様に感謝するとともに、この研究の進展・発展を祈念します。

☆プレスリリース「自治体の健診で使われている「後期高齢者の質問票」は その12項目でフレイルの識別が可能」地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター と国立大学法人大阪大学 chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.tmghig.jp/research/release/cms_upload/%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%B9%E7%99%BA%E8%A1%A8_10.pdf

☆「自治体の健診で使われている「後期高齢者の質問票」は その12項目でフレイルの識別が可能」ResOU大阪大学の研究専用ポータルサイト https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2023/20230710_1

☆プレスリリース「自治体の健診で使われている「後期高齢者の質問票」はその12項目でフレイルの識別が可能」健康長寿研究(SONIC) https://www.sonic-study.jp/news.html#list24

☆「フレイル」Medical Note https://medicalnote.jp/diseases/%E3%83%95%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%AB?utm_campaign=%E3%83%95%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%AB&utm_medium=ydd&utm_source=yahoo

以上

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