コロナの今、普段から不安を感じやすい体質でコロナの影響を受けると、過剰に不安が募るかも!
新型コロナウイルス感染症に関する日本人の経験や感情などを日本チームが調査し、結果を発表なさいました。それによると、パートタイムの仕事を減らされた女性が、13.8%。仕事を失った男性は、2.7%で、仕事を失った女性は3.7%。また、「緊張感、不安感、いら立ち」を感じている方は全体の6割弱に達します。今回はこの調査を慶應義塾大学のプレスリリースでご紹介します。https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2020/7/28/28-73430/
世界価値観調査協会の副会長のDr. Christian Welzelが「コロナ危機下の価値観に関する国際調査(Values in a Crisis Survey)」を始動させました。http://www.worldvaluessurvey.org/WVSEventsShow.jsp?ID=416 ドイツとイギリスで行われた調査を慶應義塾大学をはじめとする日本チームは、緊急事態宣言下の地域(北海道・東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県・大阪府・京都府・兵庫県)と解除地域とに分かれた時期(2020年5月中旬)に実施。全国に居住の成人3000人を対象としたインターネット調査第1波です。
コロナ危機下の価値観に関する国際調査(日本ver)
上の表によれば、男性と女性では受けている影響に違いが見られます。
☆性別による受けている影響の違い
- 女性では、「感染を疑う軽い症状を経験した/している」が1%多い。
- 「身近な人が重い症状を経験した/している」ケースは、女性の方が0.7%少ない
- 女性は、仕事を失った方が1%も多い
- 女性は、「パートタイムの仕事を減らされた」方が、8.6%も多い
- 女性は、「家で自分の子どもの世話をした」方が、7.1%も多い
- 女性は、「テレワークで仕事をした」方が、9.5%も少ない
ざっと纏めると女性の方がコロナで失業や労働時間短縮など仕事の影響を受け、子どもの世話に従事せざるを得ない姿が浮かび上がります。
年代別に比較すると、以下の点が目立ちます。
☆年代別による影響の違い
- 「仕事を失った」方は、20代が4.5%、50代以上が3.5%、40代が2.6%、30代が2%で、調査を行った5月中旬時点では20代の被害が一番大きい。
- 「パートタイムの仕事を減らされた」方も、20代15.4%、40代9.0%、50代以上8.5%、30代7.6%と、20代の被害が大きい。
- 反対に、「テレワークで仕事をした」方は、20代23.5%、30代21.6%、40代19.5%、50代以上15.7%と年代順になっています。
- また、「家で自分の子どもの世話をした」方は、30代と40代がほぼ同じ割合で、20代と50代以上は30~40代の半分以下の割合です。
20代は、失業したり、出勤日数を減らされる方が多い一方で、バリバリとテレワークで働いている方も年代別では一番多い、2極化といったところでしょうか。あなたの状況はいかがですか?
☆5月前半時に感じている感情の割合
上の図2は、調査を行った5月前半で、「緊張感、不安感、いら立ち」 「心配」 「落ち込み、憂うつ、絶望」「意欲減退、楽しくない」「孤独感」を感じた割合を示しています。「緊張感、不安感、いら立ち」は約6割、「心配」「落ち込み」「意欲減退」はそれぞれ4割、「孤独感」は3割の方が感じています。
☆図2の回答から比較して求めて不安を感じやすい傾向
図3は、上の図2の5項目に対する回答(「まったく煩わされなかった=1」「数日間煩わされた=2」「1週間以上煩わされた=3」「ほとんど毎日煩わされた=4」)の値を合計(最小5~最大20)して比較したところ、不安を感じやすい傾向が現れました。不安を感じやすい条件は以下の通りです。
- 女性
- 20代
- 普段から「不安を感じやすい人」※1、
- 持続的幸福感※2が回答者中で平均未満の人、
- コロナ関連経験(健康・仕事・家庭への影響)がある人
特に、「リラックスしている人」と「不安を感じやすい人」では、不安を感じる度合いが2.3ポイントも違います。
これは、20代と50代以上の不安を感じる度合いの差、1.2ポイントの2倍あたります。コロナ関連経験(健康・仕事・家庭への影響)がある人とない人の差は、0.5ポイント。「リラックスしている人」と「不安を感じやすい人」の差の1/4にすぎません。
あなたは、コロナの影響を過度に被っていませんか?
では、「不安を感じやすい人」はどうすれば良いのか?この疑問への提案はこれから調べて、8月21日か28日にお届けします。今は、あなたが過度に不安にさいなまれることがないよう、不安をコントロールできるよう祈ります。
なお、このブログでは女性に関係のある数字や傾向についてご紹介いたしましたが、この調査では「政府・地方自治体首長・医療関係者・私企業・メディアへの信頼感」や「他者のふるまいへの評価と連帯感」「「ウィズ / ポスト・コロナ」時代における個人・国・経済・社会に関する見通し」についても調査なさっています。ご興味のある方は、下にアドレスを貼りますのでご覧ください。
《参考》
「コロナ危機下の価値観に関する国際調査」日本版第1波調査結果発表-「不安を感じやすい日本人」だから目指す「安定した社会」(慶應義塾大学プレスリリース2020/07/28)-https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2020/7/28/28-73430/
プレスリリース全文 https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/files/2020/7/28/200728-2.pdf
「 コロナ危機下の価値観に関する国際調査 」 日本調査第 1 波 (表・図はこのpdfより転載) http://www.sdm.keio.ac.jp/upload/200804_VIC.pdf
※1:心理学で「Big5」と呼ばれる5つの性格要素のうち、「情緒不安定性(neurotic)」(不安を感じやすい性質、リラックスしにくい性質)について測定。『主要5因子性格検査ハンドブック (三訂版)』(村上・村上2017,筑摩書房)等を参照。
※2:Flourishing(持続的繁栄・幸福)尺度による測定。Seligman, M. E., Rashid, T., & Parks, A. C. (2006). Positive psychotherapy. American Psychologist. 61, 774-788等を参照。
「コロナ危機下の価値観に関する国際調査(Values in a Crisis Survey)」http://www.worldvaluessurvey.org/WVSEventsShow.jsp?ID=416
以上