未開の闇黒大陸を優しく道案内してくれる本『認知症世界の歩き方』を紹介します
2020年6月公表のちょっと古いアンケート結果ですが、日本認知症予防学会の医師の約半数は、「新型コロナウイルス感染症により高齢者の認知機能が悪化している」と答えていらっしゃいます。あなたのご両親のご様子はいかがですか?
今回は認知症をより良く理解できる、素晴らしい本を紹介します。
『認知症世界の歩き方 - 認知症のある人の頭の中をのぞいてみたら?』筧裕介(かけい・ゆうすけ)著、監修:認知症未来共創ハブ、2021年9月発行、発行所:株式会社ライツ社、定価1,900円+税、ISBN978-4-909044-32-7
本のサイズは四六判で、264ページ。本の厚みが約2センチもあるので、一瞬ギョっとしますがご安心ください。文字が新聞の文字よりも大きく、地図やイラストもふんだんに盛り込まれているので、読みやすいです。
内容は、大きく2部に分かれます。最初のPart1は「認知症世界の歩き方」と題して、認知症の方々が困っている問題を4つに分けて、それぞれの項目の体験談とそうなってしまう理由、関連する問題や行動のチェックリストが完備されています。
- 記憶のトラブル
- 五感のトラブル
- 時間・空間のトラブル
- 注意・手続きのトラブル
いろいろなトラブルがこの4項目のどれかに分類され、そうなってしまう原因も丁寧に説明してあります。読んでいると「そうだったのか」と腑に落ちることばかりで、すっきりして気持ちがいいです。
Part2は、「認知症とともに生きるための知恵を学ぶー旅のガイド」と題して、認知症と共に生きるためのノウハウが詰まっています。
アルツハイマー型認知症だった父は、発症初期の頃に穏やかな性格が激変し、訳の分からないことで激怒していました。本当に見たこともないような、猿が威嚇するような激怒でした。
この本を読んだお陰で、私の偏見や無知と父の混乱と恐怖があの激怒を作ってしまったと理解できました。訳がわからないと決めつけた私が、無知でした。父に辛い日々を過ごさせてしまったと感じます。あの頃、せめて私がこの本に出会っていれば、あんなに怒ったり傷ついたりしなくて済んだと思います。
認知症の方の肉声が満載のこの本は、本当に認知症の世界を垣間見せてくださいます。認知症と共に生きるために、認知症と共に生きる方を支えるために、とても役立つガイド本です。心からお勧めします。
☆認知症世界の歩き方 https://wrl.co.jp/2021/08/27/ninchisho/
☆issue+design(特定非営利活動法人イシュープラスデザイン)代表:筧 裕介 https://issueplusdesign.jp/
☆一般社団法人 認知症予防学会 http://ninchishou.jp/
以上