あなたは新型コロナウイルス感染の症状と熱中症の症状を区別できますか?

あなたは新型コロナウイルス感染の症状と熱中症の症状を区別できますか?

あなたは新型コロナウイルス感染の症状と熱中症の症状を区別できますか?(Dudi RahmadiによるPixabayからの画像)

危険な暑さが続く中で、新型コロナウイルスが蔓延。ところが、新型コロナウイルス感染の症状と熱中症の症状は区別できないのだそうです!少しでもリスクを減らすために、新型コロナウイルスと熱中症を予防するポイントを紹介。加えて、もしも熱中症の疑いで医療機関にかかった時に伝えるべき項目リストも最後にあります!

1.  日本救急医学会の新型コロナウイルス感染症流行下における熱中症対応の手引き(第2版)」が解明したポイント

★マスクと体温と熱中症について

手引きでは、「Q-1 マスクを着用すると体温が上がるか?」「Q-2 マスクを着用すると熱中症の発症が多くなるか?」に対して11論文を検討しながら、解説しています。

答えは、『マスクの着用が体温に及ぼす影響はない』そうです。

たとえば、『12名の被験者を対象に、室温35℃・湿度65%の環境下で、毎時6 kmの歩行速度で30分間トレッドミル(一般的なランニングマシン)による歩行を行い、サージカルマスク非着用時と着用時で深部体温(脳や臓器など体の内部の温度)を比較した研究では、深部体温はマスク着用の有無に関わらず上昇したが、マスク着用の有無に差はなかった』そうです。

さらに、『A-1で示したように、マスクの着用が体温に及ぼす影響はないと考えられ、呼吸困難感に影響を及ぼすことはあっても、マスクの着用そのものが運動強度増加時の熱中症の危険因子となる根拠はない。』そうです。

暑くて煩わしいマスクですが、体温上昇とも熱中症とも無関係です。

★「密閉」を避けながらエアコンはどう使えば良いか?

手引きでは「Q-3 COVID-19の予防で「密閉」空間にしないようにしながら、熱中症を予防するためには、どのようにエアコンを用いるべきか?」について13論文を検討したうえで回答されています。

正解はこうです。『人の集まる屋内では、密閉空間を避けるため、自然な風の流れが生じるように2方向の窓を開ける換気を適宜行い、室温を測定しながら、エアコンの温度設定を調節する。』

特にポイントは以下の通りです。

*一般的な家庭用エアコンは、室内の空気を循環させるだけで、換気は行わない

*「エアコンの設定温度」が「室内の温度」にはならない。

*風の通り道となる2方向の窓をできるだけ開けて、室内に連続的に空気を通す。

*換気で室温がどの程度上昇するか実証された根拠がないので、こまめに室温を測定し、エアコンの温度設定を調整することが望ましい。

*高齢者は熱中症に弱いので、日差しを遮る工夫や扇風機の併用などで快適な環境をつくる。

あなたは新型コロナウイルス感染の症状と熱中症の症状を区別できますか?

あなたは新型コロナウイルス感染の症状と熱中症の症状を区別できますか?(Randolph RiceによるPixabayからの画像)

★新型コロナウイルス感染の症状と熱中症の症状は区別できますか?

手引きに「Q-4 熱中症とCOVID-19は臨床症状から区別できるか?」があります。

この問いに対する回答は、『区別できない』です!なぜなら、両方とも多彩な全身症状が現れ、気温が35℃を超えるような7月中旬から8月上旬が熱中症発生のピークであり、1日で13万人以上も新規感染者が増えている状況であれば、当然でしょう。

【熱中症の症状】(日本救急医学会熱中症分類より)

Ⅰ度熱中症:めまい、立ちくらみ、生あくび、発汗、筋肉痛、筋痙攣など

Ⅱ度熱中症:頭痛、嘔気・嘔吐、全身倦怠感、軽度の意識障害など

Ⅲ度熱中症:高度の意識障害、小脳症状、痙攣発作、40℃超の高熱など

【新型コロナウイルス感染症の症状】

発熱、悪寒戦慄、全身倦怠感、頭痛、関節痛、筋肉痛、呼吸困難、鼻汁、咽頭痛、咳嗽、くしゃみ、嗄声、嘔気、下痢、腹痛、耳痛、嗅覚異常、味覚異常、意識障害、ブレインフォグ、胸痛、動悸、眼痛、皮疹など

あなたは新型コロナウイルス感染の症状と熱中症の症状を区別できますか?

あなたは新型コロナウイルス感染の症状と熱中症の症状を区別できますか?(Alexandre C. FukugavaによるPixabayからの画像)

2. ご高齢の方とご病気の方は、特に熱中症にも気を付けましょう!

厚生労働省の統計によると2020年に熱中症で亡くなられた方は、1,528人。とりわけ65歳以上で亡くなられた方が1,316人熱中症で亡くなられた方の86.1%が65歳以上です。男女で比較すると、70代までは男性が女性を上まわっていますが80代以降は逆転し、死亡数が最多となる年齢層は男性で75~84歳、女性で80~ 89歳となっています。(年齢(5歳階級)別にみた熱中症による死亡数 人口動態統計(確定数)より

また、診療報酬明細書(レセプト)のデータ分析によると熱中症で医療機関に受診した数は毎年概ね30万人台で推移してきましたが、2018年は60万人近くと急増。今年も確実な増加を想定されています。

【高齢者が熱中症にかかりやすい理由】

*暑さを感じにくくなる

*日射や熱風を避けて場所を変えたり姿勢を変えたりすることや,着ている服を変えたり,エアコンを操作するなどができにくくなる

*汗が蒸発して体温調節を行い、血流が体の深部の熱を皮膚表面に運び、熱が皮膚表面から放散される量の増加が遅くなる

*蒸発して体温調節を行う発汗量や、体の深部の熱を皮膚表面に運び、熱を皮膚表面から放散させる皮膚血流量が減少する

*摂取した水分は「体液」となり、酸素や栄養や老廃物を運び、血液の循環と発汗で体温を一定に保ち、新陳代謝を促して体内環境を保つ役割を果たすが、この体内の水分が減少する

*のどの渇きを感じにくくなる

あなたは新型コロナウイルス感染の症状と熱中症の症状を区別できますか?

あなたは新型コロナウイルス感染の症状と熱中症の症状を区別できますか?(Hermann KollingerによるPixabayからの画像)

【熱中症の危険信号】

*高い体温

*赤い・熱い・乾いた皮膚(全く汗をかかない、触るととても熱い)

*ズキンズキンとする頭痛

*めまい、吐き気

*意識障害(応答が異常である、呼びかけに反応がない等)

【熱中症を疑う時の応急処置】

*意識がない場合は、直ぐに救急車を呼びましょう

*意識がある場合と、救急車を呼んだ場合も来るまでの間に、涼しい場所に移動させ、服をゆるめて氷やアイスパックなどで体を冷やしましょう

*自分で水分を摂れる場合は、水やスポーツドリンク飲ませ安静に過ごしていただきましょう。吐き気や嘔吐などで自分で飲めない場合は点滴が必要なので、医療機関を連れて行きましょう。

*水分・塩分を補給しても症状が良くならない場合は、医療機関に連れて行きましょう。

*発熱時に額に市販のジェルタイプのシートを張っているお子さんをよく見かけますが、残念ながら体を冷やす効果はありません!熱中症の治療に効果はありません!熱中症環境保健マニュアル 2022 Ⅱ-3熱中症を疑ったときには何をするべきか より)

あなたは新型コロナウイルス感染の症状と熱中症の症状を区別できますか?

あなたは新型コロナウイルス感染の症状と熱中症の症状を区別できますか?(Leo FontesによるPixabayからの画像)

3. 熱中症の疑いで医療機関にかかった場合に質問される事項は?(熱中症環境保健マニュアル 2022より)

【感染症の可能性がある場合】

・ここ数日間の発熱、呼吸器症状、新型コロナウィルス感染症に特徴的な症状の有無

・新型コロナワクチン接種の有無

・近親者、同僚などの最近の新型コロナ肺炎症例の有無

熱中症の疑いがある患者について医療機関が知りたいこと
あなたは新型コロナウイルス感染の症状と熱中症の症状を区別できますか?

あなたは新型コロナウイルス感染の症状と熱中症の症状を区別できますか?(RomyによるPixabayからの画像)

☆日本救急医学会:https://www.jaam.jp/

☆「新型コロナウイルス感染症流行下における熱中症対応の手引き(第2版)」について https://www.jaam.jp/info/2022/info-20220715.html

☆厚生労働省が2022年6月に更新した「新しい生活様式」実践例 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_newlifestyle.html

☆環境省の熱中症環境保健マニュアル 2022 https://www.wbgt.env.go.jp/heatillness_manual.php

以上

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