人類と共に流行し、環境等の大規模化で感染拡大した、感染症との共存を提言する『図解 感染症の世界史』

感染症は人類の発展と共に流行し、環境破壊や都市の過密化・交通網の大規模化で感染拡大の温床となってしまったから、彼らとの共存の道を探れと提言する『図解 感染症の世界史』

感染症は人類の発展と共に流行し、環境破壊や都市の過密化・交通網の大規模化で感染拡大の温床となってしまったから、彼らとの共存の道を探れと提言する『図解 感染症の世界史』(QuevenによるPixabayからの画像)

前回のブログで紹介した『感染症の日本史』で度々引用されていた著書が、この『感染症の世界史』でした。そこで、見開きで左側には図や表で解説があり、右側に本文が1ページに収まっている、読みやすくて分かりやすい『図解 感染症の世界史』をご紹介します。

『図解 感染症の世界史』石 弘之(いし・ひろゆき)著、2021年1月発行、株式会社KADOKAWA、定価1200円+税、ISBN978-4-04-400633-4

寸法は、148ミリ×210ミリのA5判で、全127ページ。内容は9章に分けられ、太古の人類の移動と移動に伴う病気の拡散の話から、21世紀に入ってからほぼ10年おきに大流行している強毒性「コロナ3兄弟」の話までと広範にわたります。

感染症は人類の発展と共に流行し、環境破壊や都市の過密化・交通網の大規模化で感染拡大の温床となってしまったから、彼らとの共存の道を探れと提言する『図解 感染症の世界史』

感染症は人類の発展と共に流行し、環境破壊や都市の過密化・交通網の大規模化で感染拡大の温床となってしまったから、彼らとの共存の道を探れと提言する『図解 感染症の世界史』(Grooveland DesignsによるPixabayからの画像)

それもそのはず、なんと新型コロナウイルスの重症化リスクにネアンデルタール人から受け継いだある遺伝子が関係しているらしいのです。

『「約6万年前に交雑によって現生人類が受け継いだネアンデルタール人のある遺伝子が、新型コロナウイルスの重症化リスクを高めている」。』と2020年9月の英科学誌「ネイチャー」電子版にある研究者の発表があったそうです。(14ページより引用)

ネアンデルタール人から継承したこの遺伝子の保有者は地域によって異なり、東アジアでは4%だそうです。この話の続きは、「第1章ネアンデルタール人と新型コロナ」(14~15ページ)をご覧ください。

感染症は人類の発展と共に流行し、環境破壊や都市の過密化・交通網の大規模化で感染拡大の温床となってしまったから、彼らとの共存の道を探れと提言する『図解 感染症の世界史』

感染症は人類の発展と共に流行し、環境破壊や都市の過密化・交通網の大規模化で感染拡大の温床となってしまったから、彼らとの共存の道を探れと提言する『図解 感染症の世界史』( Mufid MajnunによるPixabayからの画像)

さらに感染症年表(5ページ)を眺めると、愕然とします。私たち人間は、太古からずっと天然痘やペスト、コレラ、スペイン風邪(実はインフルエンザ)等で、何百万人も何千万人も亡くなっています。そして2021年7月25日時点で、全世界で報告された新型コロナウイルス感染者の累計は1億9,400万人を超え、死亡者の累計は400万人を超えています。(厚生労働省検疫所 新型コロナウイルス感染症の世界の状況報告 より)

天然痘やペストなどの感染症大流行は、衛生状況が悪く、知識も無かった昔だから発生した疫病と私は軽んじていました。けれど、新型コロナウイルスのパンデミック渦中にいるわたしたちも、有効な対策を講じることができなくて、医療崩壊の危機に瀕しています。天然痘を恐れた当時の人々と同じです。

感染症は人類の発展と共に流行し、環境破壊や都市の過密化・交通網の大規模化で感染拡大の温床となってしまったから、彼らとの共存の道を探れと提言する『図解 感染症の世界史』

感染症は人類の発展と共に流行し、環境破壊や都市の過密化・交通網の大規模化で感染拡大の温床となってしまったから、彼らとの共存の道を探れと提言する『図解 感染症の世界史』(QuevenによるPixabayからの画像)

石 弘之先生はこう仰います。

『私たちは、過去に繰り返されてきた感染症の大流行から生き残った「幸運な先祖」の子孫です。その上、上下水道の整備、ワクチンの開発、医療施設や制度の普及、栄養の向上など、様々な対抗手段によって感染症と戦ってきました。それでも感染症の流行は定期的に起きています。

私たちが忘れていたのは、感染症の原因となる微生物もまた、30億年前からずっと途切れずにつづいてきた「幸運な先祖」の子孫ということです。』(4ページより引用)

近年多発する鳥インフルエンザや豚インフルエンザは、人間が原因だそうです。過去50年で世界の湿地の50%が開発等で失われ、水禽類の越冬地が狭く過密状態となり、ウイルス感染率が高まったのだそうです。また、家畜の過密飼育も原因の1つだとか。あるいは、日本では実感の薄いエボラ出血熱の大流行も、熱帯雨林の破壊が原因だそうです。そして、新型コロナウイルスも・・・

感染症は人類の発展と共に流行し、環境破壊や都市の過密化・交通網の大規模化で感染拡大の温床となってしまったから、彼らとの共存の道を探れと提言する『図解 感染症の世界史』

感染症は人類の発展と共に流行し、環境破壊や都市の過密化・交通網の大規模化で感染拡大の温床となってしまったから、彼らとの共存の道を探れと提言する『図解 感染症の世界史』(chriscopleyによるPixabayからの画像)

『1960年代以来、コロナウイルスが原因の風邪が4種見つかっていましたが、症状は子どもをのぞいては比較的軽いものでした。それが、人に感染して変異を繰り返しているうちに凶悪化したのです。

自然界にはまだ無数の病原体が潜み、新たな宿主を求めて試行錯誤を繰り返しています。水爆実験が「ゴジラ」を生んだように、薬剤の乱用がモンスター病原体を作り出すかもしれません。』(102ページより引用)

新型コロナウイルス後の遠望も素晴らしい『図解 感染症の世界史』をあなたにお勧めします。

☆KADOKAWA 「図解 感染症の世界史」  https://www.kadokawa.co.jp/product/322007000074/

以上

感染症は人類の発展と共に流行し、環境破壊や都市の過密化・交通網の大規模化で感染拡大の温床となってしまったから、彼らとの共存の道を探れと提言する『図解 感染症の世界史』

感染症は人類の発展と共に流行し、環境破壊や都市の過密化・交通網の大規模化で感染拡大の温床となってしまったから、彼らとの共存の道を探れと提言する『図解 感染症の世界史』(QuevenによるPixabayからの画像)

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